「イグルー」をつくる  ウーリ・ ステルツァー

イヌイットが狩猟での移動生活の際使う住居、「イグルー」を作る過程を追った写真絵本。雪に閉ざされた地域で生活するイヌイット達の、暮らしの知恵から生み出された住居形態が、イグルーである。日本の雪国の雪洞「かまくら」をイメージするといいかもしれ…

「雪の絵本」 神沢利子

児童文学作家、神沢利子さんが編集した「雪にまつわる話」を集めたアンソロジー。 「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪降りつむ」で有名な三好達治の「雪」という詩。また、宮沢賢治の「永訣の朝」、童話「雪渡り」など、雪を題材にした詩や物語を紹介し、神沢さ…

「魔法のことば」 柚木沙弥郎/絵 金関寿夫/訳

これは、「魔法としての言葉-アメリカ・インディアンの口承詩」(思潮社)の中の一篇、金関さんの名訳で知られる詩を絵本にしたもの。エスキモーの人々に伝わる詩で、星野道夫さんも好きだったものだ。 「ずっと、ずっと大昔 人と動物がともに この世にすん…

「自給自足の本」 ジョン・シーモア 著 宇土巻子 藤門 弘 訳

この本、初版が1983年だから、静かなロングセラーと言える。 藤門弘が、「アリスファーム」を岐阜県有巣の里で立ち上げたのが、1974年。そして、北海道に移ったのが、1983年。その時に、この本が出版された。まさに自然生活を実践している藤門夫婦が訳したの…

「モミの手紙」 ロバート・フロスト 作 / テッド・ランド 絵

詩人ロバート・フロストの短編に挿絵をつけた絵本。物語の舞台は、年末のあるアメリカの農家。突然の来客、その男は、自ら「町の商人」と名乗り、クリスマス用の商品を探しにきたと言う。ほしいのは「クリスマスツリー」。その農家の所有する山には、見事な…

「シンプルという贈りもの」ビル・コールマン 著 青山 南 訳

とてもとても美しい写真集。アーミシュの人々の生活を写したもので、1頭立ての馬車、シンプルで美しい調度品、農作業風景、戯れる子供たち等が収められている。それらは、まるで映画のワンシーンを切り取ったかのようだ。著者は、もう25年以上も彼らを撮り…

「ヴァージニア・リー・バートン-「ちいさいおうち」の作者の素顔」 バーバラ・エルマン

これは、ヴァージニア・リー・バートンの伝記です。「ちいさいおうち」という普遍的な名作絵本を描いた作者の人生、その家庭環境、背景には何があったのか、とても興味深い内容です。破天荒な母親が「反面教師」だったことは大きい。ヴァージニアが16歳の時…

「割ばしから車まで」 秋岡芳夫

本書は、デザイナーの秋岡芳夫が書いた「物つくり」指南の本。副題は「消費者をやめて愛用者になろう」となっている。そして、「回収」「直し」が必要だと説く。初版が出たのは1971年であるから、はやくから「持続可能な社会」を訴えていた人であったと言え…

「美味礼賛」 ブリア・サヴァラン

本書は、フランス美味学の古典で、いわゆるグルメという価値観の始まりの書である。本書が書かれた1825年、パリでレストランというスタイルの飲食店が生まれた。貴族の邸宅でのみ食べられた「ご馳走」が、フランス革命を機にレストランという仕組みを通じて…

「フローラ逍遥」 澁澤龍彦 

澁澤龍彦が、昭和59年7月から2年に渡って、雑誌「太陽」に連載した「花」に関する文章を1冊にまとめたもの。八坂安守さん蒐集による貴重な植物図版も見どころ。巻末には、八坂さんによる図版解説がある。装丁も含め、非常に美しい1冊。

「白夜の旅から」 森麗子 

本書は、刺繍作家の森麗子さんが北欧の国、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドを訪れ、その時見た風景をファブリック・ピクチャー(糸と布の絵)に紡いだものです。ファブリック・ピクチャーとは、刺繍や織りを自由に組み合わせる糸と布の…

「父の有り難う」 長谷川まみ 文 / 小泉 佳春 写真

茶道具金工家である長谷川竹次郎が、ふたりの子供の誕生日に贈った愛情ある鍛金作品の数々を写真に写し1冊にまとめたもの。当時の思い出を添えて。 4歳の息子に贈ったウルトラマンのお皿とフォーク、大喜びで、それから食事はいつもその皿になった。3歳の娘…

「食育菜園」 センター・フォー・エコリテラシー

本書は、学校改革を目的に始まった「エディブル・スクールヤード」の活動に献身的な力を注いだ人々の挑戦の物語です(1994年〜1999年)。カリフォルニア州バークレーにある荒れた公立中学校、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア中学校。そこは、白人の…

「フランス料理を私と」 伊丹十三   

本書は、伊丹十三が辻調理師学校の先生にフランス料理を習い、その過程を事細かくレポートするものである。料理の過程を会話形式で伝え、カラー写真をふんだんに使う贅沢な作りの本なのです。そして、メニュー毎に異なるゲストを迎え、出来た料理を食しなが…

「宇宙船とカヌー」 ケネス・ブラウワー

父は、「スペース・コロニー計画」に参加した世界的物理学者「フリーマン・ダイソン」、息子「ジョージ・ダイソン」は、16歳で学校教育をドロップアウト、カナダ沿岸の小屋で一人暮らし、カヤック製作に没頭する。父の夢は、宇宙を駆ける巨大な宇宙船を造る…

「ナチュラルガーデンブック」 ピーター・ハーパー

本書は、ガーデン設計と包括的有機思想を結びつけながら、健康的なガーデンを目指す人に実践的なアドバイスをするものです。内容は、大きく4つのパートに分かれています。 パートIでは、生物、生態系、歴史など、ガーデンづくりの背景を述べ、最後にナチュラ…

「自然界の秘められたデザイン」 イアン・スチュアート

物心ついたときから自然のなかの形や模様に惹かれてきた著者が解き明かす、「自然界のデザインの原理とパターン」。著者のイアン・スチュアートは、イギリス・ウォーリック大学の数学教授であり、サイエンスライターでもある。砂丘、波、動物や貝殻の模様、…

「火打ち箱」H・C・アンデルセン/原作 赤木かん子/文 高野文子/ペーパークラフト 

この絵本、ペーパークラフトで作った兵隊さんや犬をデジカメで撮ったものを使っている。そのペーパークラフト、高野文子さんが作ったもので、彼女の絶妙なタッチの絵が、立体的に展開されて素晴らしい仕上がりになっている。アンデルセンのこの話、現実離れ…

「子供!」スタジオ・アヌー編集

「子供たちが語る大人のための本」、大型インタヴュー本。50人の大人が、10ヶ月に渡り日本各地で174人の小学生と中学生に、一人平均3回ずつのインタヴューを行った。(1984年夏〜1985年春)子供たちは、何を感じ、何を考えているのか。小さな漁村に住む12歳…

「サン=テグジュペリの生涯 」ステイシー・シフ

本書は、サン=テグジュペリの人生を綴った評伝である。サン=テグジュペリは、「星の王子さま」で有名な作家であるが、フランスの伯爵家に生まれた貴族であり、第二次世界大戦を戦った偵察機の操縦士であり、航空郵便事業創成期をになったパイロットでもあ…

「ナチュラルハウスブック」デヴィッド・ピアソン

タイトル通りエコロジー住宅について述べた専門書。3部構成となっており、第1部では、「住まい」がどのように環境と、あなた自身と相互に作用し合っているか、ナチュナルな建築方法の原理を既存の建物(世界各地にある民族の住宅)を例に説明しています。太…

「レミは生きている」平野威馬雄

本書は、平野威馬雄の自伝的小説。今では、ハーフということに偏見を持つ人はいないと思うし、人によっては、カッコ良いと思うこともある。平野威馬雄の子供時代(明治時代)は、「あいのこ」という蔑称で差別されていた。威馬雄少年は、そのことに劣等感を…

「智恵子の紙繪」高村豊周 編

詩人・高村光太郎の奥さん、智恵子の紙絵を1冊にまとめた画集。この作品は、智恵子が精神を病んで南品川ゼームス坂病院に入退院中に遺したものである。この紙絵は、どこかに発表することを目的に作られたものではない。精神分裂病を療養中であった智恵子が、…

「アリス・B.トクラスの料理読本」アリス・B.トクラス 

二十世紀アメリカ文学を代表する作家の一人、ガートルード・スタイン、その恋人のアリス・B.トクラス。本書は、彼女が書いた料理本だ。二つの大戦に挟まれた激動の時代、ピカソやマチスの絵画、プルーストやジョイスの文学、ストラヴィンスキーやサティの音…

「アーミシュ・キルト」 ロバート・ビショップ/エリザベス・サフォンダ

ニューヨークのアメリカン・フォークアート・ミュージアムの館長、ロバート・ビショップとアーミシュ・キルトの研究家、エリザベス・サフォンダ共著の「アーミシュ・キルト大全」。最初にアーミシュの生活とアーミシュ・キルトの歴史について解説、そして153…

「ジョージア・オキーフ―崇高なるアメリカ精神の肖像」ローリー・ライル

ジョージア・オキーフの傑作評伝。本書は、もとニューズウィーク誌の記者、ローリー・ライルが、のべ3年の年月をかけ、アメリカ24州を訪れ、あらゆる美術館や図書館で資料を調べ、家族、友人などにインタヴューをして書かれたものだ。生立ち、学生時代の話、…

「ゆきとトナカイのうた」 ボディル・ハグブリンク

ラップランドで暮らすサーメの暮らしを、マリット・インガという5歳の少女目線で語る絵本。サーメは、昔トナカイを狩って暮らしていたが、乱獲しすぎて数が減ってしまった。それから、自分たちでトナカイを育てて暮らすようになった。生活は、トナカイの群れ…

「ぼくは くまのままで いたかったのに・・・」イエルク・シュタイナー/文 イエルク・ミュラー/絵 

冬眠していたクマが、目を覚ますと、冬眠前には無かった大きな工場が出来ている。そして、理不尽にも突然そこで働かされる。「ぼくは、くまです」と言っても認めてもらえない。クマというのは、動物園とかサーカスにいるものなんだという。なんだかわからな…

「綱渡りの男」 モーディカイ・ガースティン

映画(マン・オン・ワイヤー)にもなった話。 1974年8月7日、大道芸人フィリップ・プティは、世界貿易センターのツインタワーの間に綱を張り、綱渡りをした。地上約400mの高さで。一度思いついたら実行せずにはいられない性格。彼は、仲間とともに完成間近…

「セルフビルド」 石山修武/文 中里和人/写真  

セルフビルドへ誘うガイドブック。実例が身近でわかりやすい。ソローの小屋に端を発し、フラーに受け継がれるセルフビルドの思想も、そんなに難しく考えることなく、まず自分の生活に取り入れることだ。コンテナを組み合わせて作った「飲み屋」。コルゲート…