「モミの手紙」 ロバート・フロスト 作 / テッド・ランド 絵

詩人ロバート・フロストの短編に挿絵をつけた絵本。物語の舞台は、年末のあるアメリカの農家。突然の来客、その男は、自ら「町の商人」と名乗り、クリスマス用の商品を探しにきたと言う。ほしいのは「クリスマスツリー」。その農家の所有する山には、見事なモミの木がたくさんあった。そのモミの木が、商人には「クリスマスツリー」に見えるのだ。農家の男は、売る気などないが、つい口から出たのは「お望みの木はありますか?」
そして物語は、意外な方向に向かう・・・。ここで商人は、「文明人」の代表、農家の男は「自然」の代表として扱われている。「大切なこと」は何でしょうか、と考えさせる。自然描写も豊かで、短い言葉で感情の起伏をなぞる。お話としても優れた短編小説に仕上がっていると思う。クリスマス絵本の秀作です。