「雪の絵本」 神沢利子

児童文学作家、神沢利子さんが編集した「雪にまつわる話」を集めたアンソロジー
「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪降りつむ」で有名な三好達治の「雪」という詩。また、宮沢賢治の「永訣の朝」、童話「雪渡り」など、雪を題材にした詩や物語を紹介し、神沢さんが解説している。
雪に関するエッセイを集めた章で、下総は古河(今の茨城)の城主、土井利位が天保三年(1833年)に描いた「雪華図説」を紹介。この殿さま、雪に興味を持ち観察し、自ら筆をとって雪の結晶を描いたそうだ。これは、当時の西欧の研究者に比べても見劣りしない立派なものだったらしい。土井利位は、オランダから輸入した顕微鏡で20年に渡り観察したというのだから、かなりの労作だ。
「雪華図説」は、雁皮紙木版刷りの小冊子。86個の雪の結晶が描かれているらしい。オリジナルを見てみたいものだ。