2012-01-01から1年間の記事一覧

「ゆきとトナカイのうた」 ボディル・ハグブリンク

ラップランドで暮らすサーメの暮らしを、マリット・インガという5歳の少女目線で語る絵本。サーメは、昔トナカイを狩って暮らしていたが、乱獲しすぎて数が減ってしまった。それから、自分たちでトナカイを育てて暮らすようになった。生活は、トナカイの群れ…

「ぼくは くまのままで いたかったのに・・・」イエルク・シュタイナー/文 イエルク・ミュラー/絵 

冬眠していたクマが、目を覚ますと、冬眠前には無かった大きな工場が出来ている。そして、理不尽にも突然そこで働かされる。「ぼくは、くまです」と言っても認めてもらえない。クマというのは、動物園とかサーカスにいるものなんだという。なんだかわからな…

「綱渡りの男」 モーディカイ・ガースティン

映画(マン・オン・ワイヤー)にもなった話。 1974年8月7日、大道芸人フィリップ・プティは、世界貿易センターのツインタワーの間に綱を張り、綱渡りをした。地上約400mの高さで。一度思いついたら実行せずにはいられない性格。彼は、仲間とともに完成間近…

「セルフビルド」 石山修武/文 中里和人/写真  

セルフビルドへ誘うガイドブック。実例が身近でわかりやすい。ソローの小屋に端を発し、フラーに受け継がれるセルフビルドの思想も、そんなに難しく考えることなく、まず自分の生活に取り入れることだ。コンテナを組み合わせて作った「飲み屋」。コルゲート…

「子どもの文化人類学」 原ひろ子 

僕らとは異なった文化を持つ人達の生活を伝えてくれる本。たとえば、 カナダの北西部、北極に近いタイガの森で暮らすヘヤー・インディアン。彼らは、「はたらく」「あそぶ」「やすむ」をきっちり区別している。「はたらく」というのは、ムースやカリブやウサ…

「キュウリの旅」 島袋道浩 作 野口里佳/エミリー・ワトキンス 絵と写真の協力

たまには、こんな素敵な旅をしてみたいものだ。 ロンドンからバーミンガムまで、電車でわずか2時間の距離を、運河をナロウボートで行くスローな旅、2週間もかけてさ。目的は、キュウリをビンの中で酢漬にし、ピクルスを作ること。旅の途中で出会う川岸の鳥や…

「月と少年」エリック・ピュイバレ

月を題材にした絵本は多い。和田誠「ぬすまれた月」、オルセン「つきのぼうや」など。それらの中から僕の選ぶ1冊は、この「月と少年」。 ティモレオンは、「月のみちかけ屋」の試験に合格し、大喜び。「みちかけ屋」というのは、毎晩月に大きめの布を被せて…

「ガラスのジゼル」ベアトリーチェ・アレマーニャ

ある日、ガラスの子が生まれた、名前はジゼル。彼女は透きとおっていた。美しい彼女を一目見ようと、世界中から人がやって来た。ただ、彼女は透きとおっているため、ジゼルの考えは、水中を漂うように頭の中をぷかぷかしていた。だから、みんな彼女の心を読…

「ルイーザ・メイとソローさんのフルート」ジュリー ダンラップ&メアリベス ロルビエッキ/作 メアリー アゼアリアン/絵 長田弘/訳

「若草物語」で有名なルイーザ・メイ・オールコットの子供時代のお話。ルイーザの父は教育者で、学校の先生であったが、教育方針に不満を持つ生徒の父母の反対で、学校経営が破綻する。それで、オールコット一家は、1840年、マサチューセッツ州コンコードの…

「シェーカークッキング」 宇土巻子

1840年代、シルベスター・グラハム博士が、穀類と新鮮な野菜を中心とした食事の重要性を説き、肉類、コーヒー、酒、たばこなどの刺激物の摂取を控えるよう人々に勧めた。彼の説に共鳴したシェーカー教徒たちは、早速、実践した。100人単位の共同体での生活。…

「イヌイットの壁かけ」岩崎昌子

1970年、岩崎さんがカナダに住むことになり、ある日、オタワの街角の画廊で1枚の「壁かけ」に出会う。スコットランドダッフルと呼ばれる厚い布地に上に、いろんな形に切り抜いたフェルトを一針一針、丁寧に縫い上げた布絵。それは、イヌイットの人々が作った…

「凍れる河」オリヴィエ・フェルミ

インドの最北部ザンスカール、標高3500m。簡単に行ける場所ではない。1年のうち雪で8ヶ月以上も外界から閉ざされている。しかし、真冬になると外界に通じる道が出来る、河が凍るのだ、人々はその上を歩く。 著者は、その地を訪れ知り合った若い農民夫婦と親…

「屋上のとんがり帽子」 月刊たくさんのふしぎ 2002年9月号

ニューヨークの「給水塔」のお話、写真絵本の傑作。ニューヨークの街のビル屋上には、「円錐形の屋根」の給水タンクが備え付けられている。それらは、みな木製なのだ。ペンキもニスも塗らない杉の白木。ニューヨークは、夏は気温が40度近く上がるし、冬は-20…

「雪の写真家ベントレー」J・B・マーティン/作 M・アゼアリアン/絵 千葉茂樹/訳

生涯を雪の研究と写真撮影に捧げたウィルソン・ベントレーの伝記。子供の頃、雪の美しさに魅了され、雪の降る日は、いつも顕微鏡で雪の観察、そして「雪の結晶は最高のデザイン」であると気がつく。その美しい結晶を写真撮影しようと、試行錯誤を繰り返し、…

「沢田マンション物語」 古庄 弘枝

「セルフビルド」の先駆者として、この本を手に取ったのだが、読み進めるうちに、そんなことはどうでもよくなるほど、大きなドラマがあった。「沢田マンション」は、沢田嘉農さんと妻の裕江さんのたった二人で築いたマンションだ。破天荒な嘉農さんの人生も…