「ゆきとトナカイのうた」 ボディル・ハグブリンク

ラップランドで暮らすサーメの暮らしを、マリット・インガという5歳の少女目線で語る絵本。サーメは、昔トナカイを狩って暮らしていたが、乱獲しすぎて数が減ってしまった。それから、自分たちでトナカイを育てて暮らすようになった。生活は、トナカイの群れと共に草場から草場への移動となる。作者の描く暮らしの描写が細かい、また色彩鮮やか。テント内部の様子も、こと細かに書き込まれている。実際、作者は、サーメと数ヶ月共に暮らしたらしい。その時の体験が本書を作り出した。
広い雪原をスノーモービルを駆り、トナカイの群れを追いたて、囲いに追い込んだトナカイの子供に持ち主の印をつける。トナカイは彼らの財産だ。マリット・インガも誕生日を迎える度に、トナカイを1頭もらっている。もちろん、自分の印も与えられている。夜空に輝くオーロラなど、北欧の自然描写が見開きいっぱい描かれて、それだけでも見応えある。圧巻は、教会で迎えるクリスマス。子供たちが、みな色鮮やかな民族衣装をまとい礼拝堂に集まる。ページを開いた瞬間、あっと思う美しさだ。