「月と少年」エリック・ピュイバレ

月を題材にした絵本は多い。和田誠「ぬすまれた月」、オルセン「つきのぼうや」など。それらの中から僕の選ぶ1冊は、この「月と少年」。
ティモレオンは、「月のみちかけ屋」の試験に合格し、大喜び。「みちかけ屋」というのは、毎晩月に大きめの布を被せて、少し隠すのだ、こうすると半月や三日月になる。しかし、ティモレオンは、あわてたために、月に飛んで行ける薬を落としてしまう。それからが大騒ぎ、町の仲間がいろんなアイデアを出してくれた。紙ひこうきに乗る。凧に乗る。大きなバネのついた靴をはく。シャボン玉の中に入る。さて結末は。エリック・ピュイバレは、確かな世界を持った作家です。丸みを帯びたユニークな人物画、豊かな色彩感覚。遊び心いっぱいのストーリー。見開きの紙面いっぱいに描かれた絵は、強い牽引力で話を引っ張ります。日本での紹介が少ないのが残念です。もっと翻訳されてもいいと思うのです。「Les echasses rouges」は、舞台が水上都市で、登場人物達が、みな長い竹馬のようなものを履いて歩いています。彼の世界が全開で紙面に描かれてます。これ、どこかの出版社の方、日本語版出して頂けないでしょうか?