「ガラスのジゼル」ベアトリーチェ・アレマーニャ

ある日、ガラスの子が生まれた、名前はジゼル。彼女は透きとおっていた。美しい彼女を一目見ようと、世界中から人がやって来た。ただ、彼女は透きとおっているため、ジゼルの考えは、水中を漂うように頭の中をぷかぷかしていた。だから、みんな彼女の心を読むことができた。彼女が抱く不安や迷いを、彼女が口にする前に、まわりの人間が察知して安心させた。彼女が子供のうちは、それで良かった。だが、大人になるにつれ、それはやっかいなことになった。人には見せたくない思いも、全て読まれてしまうから・・・。造本も美しく、本文の一部にトレーシングペーパーを用いて表現したガラスのような絵本。編集工房くうの残した宝物です。