「レミは生きている」平野威馬雄

本書は、平野威馬雄の自伝的小説。今では、ハーフということに偏見を持つ人はいないと思うし、人によっては、カッコ良いと思うこともある。平野威馬雄の子供時代(明治時代)は、「あいのこ」という蔑称で差別されていた。威馬雄少年は、そのことに劣等感を感じていた。今の日本からは、想像するのが難しい暗いやりきれない時代の話。ひとつの時代を物語る文化史的証拠たる1冊。
あとがきで、娘の平野レミが語る後日談が良い。「父が亡くなる2日前に、横浜の外人墓地に入りたい、と言い、その時は冗談だと思っていたのですが、あとから遺言のように思えてきて、なんとか望みをかなえてあげたいと思いました」、平野威馬雄は、日本の国籍を持つ日本人なので、最初は断られたが、いろんな方々の尽力によりお墓を建てることができたそうだ。お墓のデザインは、レミの夫(和田誠)が行った。