「智恵子の紙繪」高村豊周 編

詩人・高村光太郎の奥さん、智恵子の紙絵を1冊にまとめた画集。この作品は、智恵子が精神を病んで南品川ゼームス坂病院に入退院中に遺したものである。この紙絵は、どこかに発表することを目的に作られたものではない。精神分裂病を療養中であった智恵子が、ひとり静かに創作し大切にしまいこみ、週に1、2度訪れる光太郎に見せることを生き甲斐としていたものである。この作品群の純粋な美しさの理由は、そんなところにあるのだろう。