「宇宙船とカヌー」 ケネス・ブラウワー

父は、「スペース・コロニー計画」に参加した世界的物理学者「フリーマン・ダイソン」、息子「ジョージ・ダイソン」は、16歳で学校教育をドロップアウト、カナダ沿岸の小屋で一人暮らし、カヤック製作に没頭する。父の夢は、宇宙を駆ける巨大な宇宙船を造ること。息子の夢は、アリューシャンが使用していたカヤック「バイダルカ」を造ること。相合うことのない二人の生き方を、淡々と重ね合わせ「親子のそれぞれの夢」を描いた傑作。
父は、息子をこう評する。「私は宇宙の真理を数式で考え理解しようとするのだが、彼はまるで音楽家が作曲する様なやり方でカヤックを作ってしまうんだ」。

「ナチュラルガーデンブック」 ピーター・ハーパー

本書は、ガーデン設計と包括的有機思想を結びつけながら、健康的なガーデンを目指す人に実践的なアドバイスをするものです。内容は、大きく4つのパートに分かれています。
パートIでは、生物、生態系、歴史など、ガーデンづくりの背景を述べ、最後にナチュラル・ガーデンの思想と起源の概略を説明しています。パートIIは、計画の項目で、土地調査、時間やスペースなどの制約のもとでとり得る方法の見つけ方、ガーデンのデザインと中身の選択、野性生物、癒しなどの分野について詳しく説明しています。パートIIIは、在来型の園芸に変わるものとしてガイア式園芸に更に踏み込み、園芸に関わる人がもつ様々な理想を、環境や気候に合わせる必要があることを強調しています。都市、山地、海岸、湿地など、それぞれの生息環境のガーデン、冷涼な気候と乾燥気候のガーデンに斬新なアイデアを盛り込んでいます。パートIVは、ガイア式ガーデンのアイデアと哲学を実践する時に必要な全ての知識と、実際に役立つ知見を集めたパートです。巻末には、様々なガーデンの状態に合う推薦植物の膨大なリストと、関係機関、参考文献が載っています。

「自然界の秘められたデザイン」 イアン・スチュアート

物心ついたときから自然のなかの形や模様に惹かれてきた著者が解き明かす、「自然界のデザインの原理とパターン」。著者のイアン・スチュアートは、イギリス・ウォーリック大学の数学教授であり、サイエンスライターでもある。砂丘、波、動物や貝殻の模様、遺伝子や分子など様々な形やパターンを取り上げて話を進めていくが、本書では、「雪の結晶」を中心的なモチーフとして登場させ、なぜあのような不思議な形になるのかというテーマが縦軸として全体を貫いている。

「火打ち箱」H・C・アンデルセン/原作 赤木かん子/文 高野文子/ペーパークラフト 

この絵本、ペーパークラフトで作った兵隊さんや犬をデジカメで撮ったものを使っている。そのペーパークラフト高野文子さんが作ったもので、彼女の絶妙なタッチの絵が、立体的に展開されて素晴らしい仕上がりになっている。アンデルセンのこの話、現実離れした話を、ほのぼのした語り口で語るところが味なのだが、高野さんのクラフトが、いっそうほのぼの感を出している。また、この話のいいところは教訓めいたところが無いこと。
「でかい目の犬」は、宮崎駿のアニメに出てきそうな感じ。これ、絵本の名作です。

「子供!」スタジオ・アヌー編集

「子供たちが語る大人のための本」、大型インタヴュー本。50人の大人が、10ヶ月に渡り日本各地で174人の小学生と中学生に、一人平均3回ずつのインタヴューを行った。(1984年夏〜1985年春)子供たちは、何を感じ、何を考えているのか。小さな漁村に住む12歳の少年は、学校から帰ると75歳の祖父と漁に出る。イギリスの自由学校に通う女の子は、パンクバンドで反戦歌を歌い、子供たちだけで原発反対運動をしている。15歳で出産した女の子は、「これからこの子とゆったり生きます」と、しっかりした口調で言い切った。日本の子供たちが語る、現実、取り巻く環境。800ページ以上に及ぶ分厚いノンフィクション。

「サン=テグジュペリの生涯 」ステイシー・シフ

本書は、サン=テグジュペリの人生を綴った評伝である。サン=テグジュペリは、「星の王子さま」で有名な作家であるが、フランスの伯爵家に生まれた貴族であり、第二次世界大戦を戦った偵察機の操縦士であり、航空郵便事業創成期をになったパイロットでもあった。著者であるステイシー・シフは、既知の資料は言うまでもなく、未発表の書簡や、自ら掘り起こした証言をもとに、魅力ある人物像に迫っていく。ここでは、これまでサン=テグジュペリにあった神話化されたイメージを壊し、清濁あわせもつ、ごく普通の人間の姿が描かれている。

「ナチュラルハウスブック」デヴィッド・ピアソン

タイトル通りエコロジー住宅について述べた専門書。3部構成となっており、第1部では、「住まい」がどのように環境と、あなた自身と相互に作用し合っているか、ナチュナルな建築方法の原理を既存の建物(世界各地にある民族の住宅)を例に説明しています。太陽エネルギー、雨、風との関係など。第2部では、健康とエコロジーのための住まいをどのように建て、施設を造り、内部を整えるかを、材料や塗料、家具等、住まいに関わる全てを調査し、いかにして生活上のデザインや好みに合わせるかを述べています。第3部では、空間について説明しています。リビング、ベッドルーム、キッチン、バスルームに新しいナチュラルデザインの基準を提案しています。これらを考えることによって、快適で健康的なナチュラルハウスが生まれる。挿絵とカラー写真を豊富に使っているので、入門書として、読みやすい。